車屋のコストは、時代が削ってきた
最終更新: 2026年7月7日
この記事は、宮城県大崎市田尻で車の買取をしているチバガレージが、自分の言葉で書いている自社ブログです。中立な第三者を装うつもりはありません。
車の値段には、車そのものの価値のほかに、その車が売り買いされるまでの「仕組みのコスト」が乗っています。このコストの中身は、実はずっと同じだったわけではありません。時代が変わるたびに、少しずつ削られてきた——今日はその移り変わりを、当店なりの目線で書いてみようと思います。
昭和——車は何度も業者の間を回っていた時代
厳密な統計として申し上げるつもりはありませんが、ざっくりとした時代の空気として、昭和の中古車流通は業者間のオークションを介するのが当たり前でした。買い取った車がそのまま次のオーナー様に届くのではなく、業者から業者へ、オークション会場を経由して何度も渡っていく。渡るたびに、出品料や落札料といった手数料、運ぶための輸送費が乗っていく——そういう流れが広く一般的だったとされています。
この仕組み自体が悪かったという話ではありません。全国の業者が同じ土俵で車を取引できる場があることには、それなりの合理性がありました。ただ、車が人手を渡る回数が多いほど、その分のコストが積み重なり、最終的な価格のどこかに乗っていく。これは、当時の流通の形として自然な結果だったのだろうと思います。
平成——「中間を減らそう」という発想が広がった時代
平成に入ると、「中間マージンをやめよう」という発想が少しずつ広がっていきました。買い取った車を、オークションに何度も出さず、自社で直接販売する店が増えていったのもこの頃です。
間に挟まる段階が減れば、その分の手数料や輸送費、各段階に乗る利益も減らせます。減った分をそのまま懐に収めるのではなく、買取価格や販売価格に還元するという考え方も、この流れの中で広がっていきました。当店が中間マージンの仕組みについての記事で書いている内容も、根はここにあります。
削られたのは、オークションを何度も経由することで生まれていた中間コストでした。次に何が削られるかは、まだこの時代には見えていなかったように思います。
令和——次に削られているのは、店舗と展示場です
そして令和の今、削られ始めているのは「店舗」と「在庫展示場」という固定費だと当店は見ています。
広い土地に車をずらりと並べる大型展示場を構えれば、地代と維持費が毎月出ていきます。これは車が一台も動かない月でも変わらず発生する費用です。しかし、在庫の状態がオンラインで十分に確認できるのであれば、その大型展示場という固定費そのものが、必ずしも必要なくなってきます。
当店は、この形で運営しています。大型展示場や複数の店舗を持たず、在庫の車を一台ずつ動画に撮影し、自社開発のシステムで公開する。拠点は宮城県大崎市田尻の最小限の作業場のみで、動画掲載式のシステムだけで在庫の情報をお伝えする形です。この考え方の詳しい中身は、展示場を持たない車屋の話にまとめています。
数字でも申し上げておきます。当店の仕入れの9割以上は、お客様からの直接買取です。オークション経由はごくわずかです。昭和の時代に何度も業者間を回っていた流れとは、出発点からして違う形になっています。
もちろん、大型展示場には「実車を見比べられる」という価値があり、それを求める方がいらっしゃるのも事実です。ただ、その価値を維持するための固定費を持たない選択をすれば、その分を買取価格や販売価格に回せる余地が生まれる——当店はそう考えて、この運営の形を選んでいます。
5年後、どうなっていくか——当店はこう見ています
ここから先は、当店の見立てとして申し上げます。断定できる未来ではなく、あくまで当店がそう見ている、という視点でお読みください。
おそらく5年後には、車も自宅から注文して、気づいたら届いている、という買い方がもっと当たり前になっていくのではないかと当店は見ています。在庫を見に行くために店舗へ足を運ぶ、という前提そのものが、少しずつ薄れていくかもしれません。
ネットで価格や在庫の情報が見えるようになるほど、店同士の競争は今よりはっきりと可視化されていきます。可視化された競争が激しくなるほど、古いコスト構造——何度も人手を渡る流通や、大きな固定費を前提にした値付け——は、少しずつ淘汰されていくのではないか。これも、あくまで当店の見立てです。
もう少し先まで、当店の見立てを書いておきます。いまの業者オークションの会場では、輸出向けの買い手の存在感が年々大きくなっていると感じます。車の売買は、もう国境を越え始めています。この流れの先にあるのは、誰でも簡単に出品でき、どこの国の方でも公平に買える「世界共通の売買ネットワーク」ではないか——当店はそう見ています。大きな戦争や経済ショックさえなければ、技術の進歩とともに、必然的に近づいていく未来だと当店は考えています。
これは、予測を語るだけの話ではありません。当店が公式サイトの中で、無料の個人売買コーナーを運営しているのは、この未来の入り口を先に作って、実際に動かしておきたいからです。誰でも出品できて、間に余計なコストが挟まらない売買の形——小さくても、実物がすでに動いています。
削られたコストの行き先は、いつも同じでした
昭和に削られたのは、オークションを何度も経由する中間コストでした。平成に削られたのは、それでも残っていた中間マージンの一部でした。そして令和の今、削られているのは店舗と展示場という固定費です。
削られる対象は時代ごとに違っても、削った分の行き先は、いつも同じだったのだろうと当店は思っています——お客様の価格です。当店がやっていることも、特別なことではありません。令和の削り方を、少しだけ先にやっているだけです。
他社のお見積もり、大歓迎です。比べたうえで、当店の値段もご確認いただければと思います。当店の固定費が実際にどのくらいなのかは、固定費の実額公開にまとめてあります。あわせてご覧いただくと、この記事で書いた話がより具体的につながると思います。
よくある質問
昭和の中古車流通で、業者間オークションが使われていたというのは本当ですか?
厳密な統計として断定できるものではありませんが、当時の時代の空気として、車が業者間のオークションを経由して何度も渡っていく流れが広く一般的だったとされています。渡るたびに出品料・落札料・輸送費が積み重なる仕組みでした。
平成に広がった「直販」とは、具体的にどういう変化ですか?
買い取った車をオークションに何度も出さず、自社で直接販売する店が増えていった流れを指しています。間に挟まる段階が減ることで手数料や利益の積み重なりを圧縮でき、その分を買取価格や販売価格に還元するという考え方が広がりました。
令和で「店舗や展示場が削られている」というのは、当店の主張ですか?
当店がそう見ている、という視点です。大型展示場には実車を見比べられる価値がありますが、その価値を維持する固定費を持たない選択をする店も増えてきており、当店もその一つとして、動画掲載式の自社システムで大型展示場や複数の店舗を持たずに運営しています。
当店は本当にオークションを使っていないのですか?
使わないと言い切ることはできません。ただ、当店の仕入れの大半はお客様からの直接買取で、オークション経由はごくわずかです。中間の段階を減らす考え方で運営しているとご理解いただければと思います。
5年後は本当にそうなるのですか?
断定はできません。あくまで当店の見立てとしてお伝えしています。ネットで価格や在庫が可視化されるほど競争が進み、古いコスト構造は少しずつ淘汰されていくのではないか、というのが当店の見方です。
ということで、当店はいま、その未来に向けたプラットフォームの開発に励んでいます。チバガレージへの投資だと思って、一度、売り買いに使ってみませんか。仲良くなりましょう。
株は安い時に買うもんですよ?